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歯の健康を保つための栄養

歯は骨と同様に硬組織ですが、歯の成分や維持には複数の栄養素が関与しており、また歯茎や口腔内環境も栄養状態に大きく影響されます。

1. カルシウム(Ca)
歯の主成分であるエナメル質と象牙質には大量のカルシウムが含まれています。カルシウムは、歯の硬度を維持し、虫歯になりにくい強固なエナメル質を作るために欠かせません。カルシウムは骨と同様に代謝されるため、不足すると骨からカルシウムが引き出され、歯の強度も低下する可能性があります。
一部の患者にはカルシウムサプリメントの摂取が推奨される場合もありますが、腎結石などのリスクがあるため、医師と相談の上摂取量を調整することが重要です。

2. ビタミンD
ビタミンDは腸でのカルシウムとリンの吸収を促進し、血中カルシウム濃度の適正な維持に寄与します。これにより、歯の石灰化が促され、カルシウムとリンの結晶構造が強固に形成されます。また、ビタミンDが不足すると、骨の密度が低下するだけでなく、歯の根元が弱くなりやすいです。
屋内にいる時間が長い高齢者や都市部の住民はビタミンD不足が起こりやすく、特に骨粗鬆症の治療中や成長期の患者は、意識的な摂取が求められます。

3. リン(P)
リンはカルシウムと共にエナメル質を構成する重要な成分で、カルシウムと結びつくことで、歯の再石灰化を促進しエナメル質の強化に寄与します。また、歯茎の健康を保ち、口腔内のpHバランスを整える作用もあります。
加工食品やソフトドリンクに含まれるリン酸塩の過剰摂取はリン過剰のリスクを伴い、カルシウムの吸収に悪影響を与える可能性があるため、注意が必要です。

4. ビタミンC
医師の視点: ビタミンCはコラーゲン合成を助け、歯茎の組織を強化します。歯茎は歯を支える役割を持つため、歯茎が健康であることが、歯全体の健康にも繋がります。不足すると歯茎の炎症や出血(歯肉炎)を引き起こし、歯周病のリスクが高まります。
治療視点: 歯周病の治療中または予防のために、ビタミンCが豊富な食事を指導することがあり、喫煙者は特にビタミンCの消耗が早いため、注意が必要です。

5. マグネシウム(Mg)
マグネシウムは骨代謝に関与し、カルシウムの適正な利用をサポートします。カルシウムとリンの適正バランスを保つことで、歯の石灰化や硬度の維持に役立ちます。
歯の健康維持におけるマグネシウムの不足は、歯の石灰化不足や脆弱性につながるため、心身のストレスが多い患者や腸内吸収が低下している患者には、マグネシウムの補給が推奨されることがあります。

6. ビタミンA
ビタミンAは唾液の分泌を促進し、口腔内の粘膜を健康に保つ働きがあります。唾液には抗菌作用があるため、口腔内の細菌バランスを整え、虫歯や歯周病の予防に貢献します。
ビタミンA不足は、乾燥や感染に対する抵抗力低下を引き起こし、歯肉のトラブルにつながる可能性があります。口腔内の乾燥が顕著な患者には、ビタミンAを意識した食事の指導が行われることもあります。

7. フッ素(F)
フッ素はエナメル質に取り込まれると再石灰化を促進し、酸に対する抵抗力が増し、虫歯のリスクが低下します。フッ素塗布やフッ素配合の歯磨き粉の使用により、特に子どもや高齢者において歯の強化が図られます。
過剰摂取によりフッ素症のリスクがあるため、フッ素塗布などの処置は医師や歯科医の指導のもと行うことが推奨されます。

8. ビタミンK
ビタミンKは骨や歯の代謝に関与するタンパク質を活性化し、カルシウムの骨・歯への取り込みをサポートします。特に歯の健康と密接に関係するオステオカルシンを活性化し、歯と骨の結合強度を保ちます。
補足情報: 抗生物質の長期使用者や胃腸障害を抱える患者は、腸内のビタミンK生成が低下することがあるため、ビタミンK不足による骨や歯の脆弱化に注意が必要です。

歯の健康維持に重要な生活習慣
栄養バランスの取れた食事: 歯の健康は栄養素の相互作用によって保たれるため、食事に偏りがあると歯の劣化が進む可能性が高まります。
定期的な歯科受診: 歯科医によるクリーニングとチェックアップは、早期に歯や歯茎の問題を発見し、適切な処置が可能となります。
糖分や酸性飲料の摂取制限: 砂糖や酸が多い食べ物や飲み物は、エナメル質の酸蝕や虫歯を引き起こすため、控えることが推奨されます。
歯の健康は、日常の栄養管理と適切なケアが重要であり、特定の栄養素がそれぞれの役割を果たしながら、相互に影響を及ぼしています。

新丸子・武蔵小杉の歯科
一戸歯科医院

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Saori Ichinohe

一戸 小織

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ナビゲーター 一戸 小織

院長 一戸小織がお届けする日々の徒然。
ちょっぴり気分の上がること、お薦め情報、医療のことなどを綴ります。